【 コロナ対策 】堅い厚労省 ワクチンはいつ?
日本のコロナウイルス対策が、多の国に比べ「遅い」と言われていることが4つ、新聞にとりあげられましたので、安倍首相など政治のトップと、厚生労働省など官僚の双方の意見をまとめてみました。
(1) 人工呼吸器の増産対応
人工呼吸器は、肺炎などで呼吸が困難な患者を補助する装置です。平時の対応を続けて命の危険が増す結果とならないよう、規制緩和が急務となります
日本の現状
2020年2月中旬時点では国内に28,000台超あり、6割が使用可能。 肺炎患者が急増すれば増産が必要だが、既存の医療機器メーカーの生産能力には限界がある。
しかし異業種が人工呼吸器の製造に参入が進まない。理由は「医療機器規制」のもとでは新規事業者の製造認可に10ヶ月以上かかるとのこと。
米国
非常時に軍事物資を増産させることができる「国防生産法」を発動し、企業に人工呼吸器生産を指示
欧州
医療機器の規制強化政策の開始を2020年5月から1年延期。 生産要件を事実上緩和
日本の規制
医薬品医療機器法の審査・承認要件の変更はなし。 特例承認もあるが、適用難しい
(2) コロナ感染PCR検査が遅い
外国や、日本国民の目線
- 安倍首相 「なぜ検査が増えないのか!」
- 米国大使館は、(PCR検査が進まないため)、4月3日罹患した人の割合を正確に把握するのが困難だ、と米国民に帰国を呼びかけた
- ドイツは1月初旬の早い段階から、新型コロナウイルスの検査を始め、3月中旬の段階で約16万人検査した。ドライブスルー式や、自宅への訪問による検査など、様々な方法を導入し、大量に検査をしても医療現場に混乱が生じないよう、工夫を凝らしている。自宅で検査キットを使って献体を施設に送る郵送検査の取り組みも始めている
厚労省・医師免許のある医系技官の立場
- 検査は誤判定もあるうえ、陽性でも8割は無症状や軽症である
- 今まで、37.5度以上熱が4日以上続くなどに絞り、検査してきた
- 軽傷者の入院が増え続ければ重症患者に手が回らなくなる「医療崩壊」への懸念がある
(3) ワクチン「アビガン」の承認手続
新型コロナウイルスに効果があると言われている、「富士フイルム富山化学」が開発したアビガン、菅官房長官は「すぐに承認の手続きを取るように」と厚労省に指示
政府の立場
この緊急事態宣言の中、コロナウイルス感染は自分の免疫力で治すしか方法はない。 のどから手が出るほど、ワクチンが望まれるこの時期、安倍首相は異例の「アビガン」を緊急事態宣言で言及し、通常1~2年かかる新薬承認のサイクルを数ヶ月に縮める、早期認可の意欲を見せています
- 緊急経済対策でアビガンの海外供与を盛り込んだ。50ヶ国以上に無償で供与する代わりに、投薬データを受け取る。 承認を後押しする異例の手段を取った
厚労省・日本医師会・医師免許のある医系技官の立場
国民の生命や健康に関わる技官らは政治から一定の独立性を保つ
- アビガン、医学的には重症者から始める
- 胎児への悪影響などお副作用の懸念がある
- 1970年~1980年年代の薬害エイズ事件の苦い経験
1980年代の薬害エイズ事件
1980年代に血友病患者に対し、加熱処理をせずウイルスを不活性化を行わなかった血液凝固因子製剤(非加熱製剤)を治療に使用したことにより、多数のHIV感染者およびエイズ患者を生み出した事件である。非加熱製剤によるHIV感染の薬害被害は世界的に起こったが、日本では全血友病患者の約4割にあたる1800人がHIVに感染し、うち約600人以上がすでに死亡しているといわれる。 (Wikipedia)
- 厚生省の不作為(あえて積極的な行為をしないこと)が問題視された
- しかしエイズが感染後に、長期の潜伏期間を経て高確率で発症することが明らかになったのは、1980年代の後半以降であり、1986年から1987年頃までは、専門家の間でも抗体陽性者の発症率は低いとする見解もあった
(4) オンライン診療
官邸の立場
- 受診歴のない患者にも、初診からオンライン診療を可能とすべき
- 期間限定で解禁する方針を固める
- この医療崩壊の危機を乗り越えたい
厚労省・日本医師会の立場
- 「全面解禁は認められない」 医系技官は反対し続けた。オンラインは得られる情報が限られ、重症化の兆候を見逃し、誤診の恐れがある、との理由
- 日本医師会は、全面解禁に反対
- 厚労省は感染した疑いのある患者の対面診療について診療報酬を上げて医師会に配慮した
- 薬害エイズ事件など、過去に苦い経験がある厚労省
まとめ
この国難の時期、医療崩壊だけでなく、経済が立ちゆかなくなります。 人工呼吸器、ワクチン、オンライン診療などは、即効性のある解決策です。
でも、厚労省の立場も、「患者に大変な影響が会った時、責任を取るのは我々だ」という立場で、安全を第一にする姿勢も、必要です。
この結果は、歴史が証明すると思います。 ぜひ、政府と厚労省が、かしこい落とし所を早く見つけることを、切に望んでいます。