【 ドイツに学ぶ 】コロナウイルス対策
ドイツのコロナ感染者数は世界4位
世界の新型コロナウイルスによる死者数は124,642人となっています。
感染者の多い国順に並べると、ドイツは4位ですが、死亡者は上位8国に比べ、圧倒的に少ないことについて、2020.4.15 本日の日本経済新聞に、興味のある記事がありましたので、ご披露しますね
国名 死亡者 感染者数
- USA 米国 25,757 605,193
- Spain スペイン 18,056 172,541
- Italy イタリア 21,067 162,488
- Germany ドイツ 2,969 131,359
- France フランス 15,729 103,573
- China 中国 3,342 82,295
- Iran イラン 4,683 74,877
- GB 英国 12,107 93,873
- Japan 日本 162 8,189 注: 4/15 12:30
【出典】日本経済新聞 2020.4.15 新型コロナウイルス感染 世界マップ
下のグラフは、出典のWebサイトからですが、以下の注釈がありました。
- ドイツは検査が多いため感染者数が増え、致死率としては低い数値が出ているとみられる。各国でどこまで検査を徹底するかによって感染者数も左右されるため、致死率が実態を完全に表しているわけではない。
2020.4.15時点 ドイツに学ぶ、死者数が少ない理由
1. 在宅勤務がしやすいしくみ
リスクの高い高齢者は自立した生活をおくるという、ドイツのライフスタイル。感染したとしても、自宅隔離がしやすい広い家があるという住宅事情
2. 2013/1月に連邦議会がまとめた報告書
世界規模のウイルス感染が起こったら、ドイツにどう影響し、政府はどう動くべきか
A4版30ページの詳細なシナリオ分析は新型コロナを予言しているようだ
- 感染スピードを鈍らせるには学校閉鎖や、大規模集会の禁止しかない
- 電気やガスは供給できるが、航空・鉄道は滞り、医療はパンク、
- 消毒液やマスクの調達も難しくなる
- 感染終息には3年かかるだろう
3. すばやい在宅勤務への切替
国民の9割が外出制限などの接触制限に賛成する。もともとワークライフバランスの気風があるため、批判は余り聞こえてこない
例えば、
- 2020年3月、政府が外出制限を発すると、ドイツは国家ぐるみで一気に動いた
- ドイツ連邦銀行(中銀)・欧州中央銀行 ECBは、金融緩和の実働部隊として、値動きが激しい金融市場と向き合うが、直ちに在宅勤務に切り替えた。ワイトマン総裁ですら、週1回しかオフィスに顔を見せない。
- 2002年~2003年に大流行した、SARSの経験踏まえ、万が一に備えた。新聞や出版社と言った業界まで、ほぼテレワーク
4. 家庭内感染を防ぐライフスタイル
子どもは早くから独立し、高齢の親とは同居しないのが普通で、リスクの高い高齢者を隔離するのがイタリアより簡単だった。南欧は、子どもが成人しても親と同居するのが珍しくない。
5. 軽症者は自宅で回復を待つ
同居家族がいても、ゲストルームがあることも多いドイツの広い家は、自宅隔離がしやすい。 背景として、第二次大戦後、旧西ドイツには共産圏から大勢の市民が逃げ込んだため、住宅設備が政策の柱となった。
6.メルケル首相の談話「事態は深刻です」
「国民の60~70%が感染する恐れがある」と、不都合なことでも、事実ならが率直に伝え、素早くリスクを回避する、そんなドイツの国民性が奏功している
【出典】
- 日本経済新聞 2020.4.15 朝刊「ドイツ、在宅・隔離進み対応早く」
2020.4.9 時点 ドイツに学ぶ、死者数が少ない理由
1. 早い初動 2020.1.4 対応
ドイツ政府の感染症対策の専門機関である、ロベルト・コッホ研究所は、中国での新型コロナウイルスの検出が伝わったばかりの1月6日に内部で作業グループを設置。
ドイツ初の感染者が見つかった1月末には2交代制に移行し、新型コロナウイルスは、従来型インフルエンザより約10倍危険だと結論づけた。
2. 積極的な大規模検査
ドイツは1月初旬の早い段階から、新型コロナウイルスに感染していないかどうかの検査を始め、3月中旬の段階で約16万人検査した。
ドライブスルー式や、自宅への訪問による検査など、様々な方法を導入し、大量に検査をしても医療現場に混乱が生じないよう、工夫を凝らしている。自宅で検査キットを使って献体を施設に送る郵送検査の取り組みも始めている。
3. 数百の民間の研究機関との連携
日本では、検査が公的機関が中心となって担っているが、ドイツでは数百の民間機関も従事し、普段はインフルエンザ検査などに使っている設備を、24時間稼働できる態勢にして、検査スピードを飛躍的に高めた。
4. ドイツ特有の整備された「医療体制」
人工呼吸器はドイツで、25,000台ある (イタリア 3~5,000台、 フランス 5,000台)。
5. 結果、医療現場の負担を分散させることができた
平時からインフルエンザなどの感染症に備えていた数百の民間の研究機関と連携し、上記、ドライブスルー式や自宅訪問検査など様々な方法を導入し、大量に検査しても医療現場に混乱が生じないよう工夫を凝らしている。
ドイツ政府が検査を徹底してきたのは、「感染者を早期に発見」し「外出自粛」を促し、「重症化しやすい高齢者への接触を避ける」ことが可能となった
6. メルケル首相の談話「事態は深刻です」
3月19日に、心を打つトップのメッセージが全国民に発信され、危機意識を高めました。 詳しくは、メルケル首相のスピーチ全文をご覧下さい。
【出典】
- 東亜日報 新型コロナ、ドイツの致死率が低いのはなぜ?
- 日本経済新聞 2020.3.29朝刊 「ドイツ際立つ低死亡率」
- 日本経済新聞 2020.4.5 朝刊「ドイツ、大規模検査の背景」
ドイツの課題
しかしながら、ここのところ死者数が急激に立ち上がってきたのも事実。 いくつかの課題をひろって見ました。
検査を増やすにつれ、医療関係者の感染が増加
ドイツの一日当たりの検査数は、5万件ほどで、一日2千件程度の日本の25倍。
ただ、検査を増やすにつれ、ドイツでも医療関係者の感染は増えつつある。
大規模検査で材料・設備・スタッフの不足
感染者が若い
幅広い年代編御検査を徹底した結果、症状の軽い若年層も含むため、死亡率が低い一因になっている。
ドイツ内の感染者の平均年齢は47歳。イタリアの感染者(63歳)より16歳も若い。ドイツの感染者の多くは、2月にイタリアやオーストリアで開かれたフェスティバルや冬休みのキャンプに訪れた学生たちだという。
死亡者の検査が異なる
一部では、ドイツ政府が韓国やイタリアなどとは違って死亡者に対して新型コロナウイルスの検査をせず、感染して死亡した人だけ統計に含めていることも、致死率が低い一要因だと分析する
まとめ
コロナウイルスの検査の少ない日本にとっては、検査をかなり広範囲に数多く行っているドイツから学ぶところがあります。
紙・はんこ文化を捨て、在宅勤務ができる仕事の範囲を増やす
ドイツでは、日本の日銀の総裁でも週に一日しか出勤せず、自宅で日々の金融施策を実行しています
過去のSARSなどの危機を、文書に残し、初動を早くする
2013年にSARSの経験をもとに、感染病対応の文書があった
過去の危機的事態から、最悪のシナリオを国民と共有する
といったことを参考にできると思います。