【 スペイン風邪 】から学ぶ新型コロナ対策
約100年前に起こった全世界で、少なくとも死者が5000万人以上と言われている「スペイン風邪」に学べることを、拾ってみました。
1918年3月~1920年のスペイン風邪のひどさ
スペイン風邪と言われる全世界に広がったインフルエンザ感染症、その影響の大きさは、想像を絶する規模です。
2020.11.14時点での新型コロナウイルス との規模を比較してみました。
世界人口の、約27%が感染
死者は、4000万人~最大で1億人という説もある
終息に3年かかり、3つの波があった
- スペインフルの第一波は1918年の3月に米国とヨーロッパにて始まりますが、この(北半球の)春と夏に発生した第一波は感染性は高かったものの、特に致死性ではなかったとされています
- (北半球の)晩秋からフランス、シエラレオネ、米国で同時に始まった第二波は10倍の致死率となり、しかも15~35歳の健康な若年者層においてもっとも多くの死がみられ、死亡例の99%が65歳以下の若い年齢層に発生したという、過去にも、またそれ以降にも例のみられない現象が確認されています
- (北半球の)冬である1919年の始めに第三波が起こり、各地の死者は、欧州230万人、インド 1850万人、米国 68万人、アフリカ 238万人、中国 400~950万人、日本 39~45万人
- 1920年までパンデミックは続いたが、終息は多くの人が一定程度の免疫を獲得したため? とも言われているが、確かなところはわからない
スペイン風邪から、何が学べるのかな? と考えて見ました。
【出典】
- 日本経済新聞 2020.4.15 忘れられたパンデミック(上)出征軍から世界拡散
- Wikipedia スペインかぜ
- IDSC 国立感染症研究所 「スペイン・インフルエンザ 1918-1919」
- Forbes 2020.4.5 ペスト、コレラ、スペイン風邪・・・人類はどう感染症の流行と向き合ってきたか
- CREA 2020.4.27 100年前5億人が感染したスペイン風邪 なぜ日本も終息に丸2年かかったのか?
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NRI コラム 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight
2020.05.01 100年前のスペイン風邪の経験に学ぶ新型コロナ対策と日本の出口戦略
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2020/fis/kiuchi/0501 -
東京新聞 2020.08.18 100年前のスペイン風邪に学ぶ? 米論文に注目 「活動制限厳しいほど、経済回復は早い」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/49417 -
Yahooニュース 古谷経衡 作家/文筆家/評論家
2020.02.28 日本はパンデミックをいかに乗り越えたか~100年前のパンデミック・スペイン風邪の教訓
https://news.yahoo.co.jp/byline/furuyatsunehira/20200228-00165191/ -
朝日新聞Digital 2020.04.24 (新型コロナ)スペイン風邪に学ぶことは 20世紀最悪のパンデミック
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20200424000164.html -
あんどう内科クリニック 第二波、第三波は?―― 歴史が教えてくれること
http://andoc-clinic.com/wp-content/uploads/2020/05/4fa24201241d796fd41e73e41a0bcd44-4.pdf -
大阪府保険医協会 2020.07.14 【緊急特集】パンデミック「スペインかぜ」から100年「歴史から何を教訓にし、何に対峙すべきか」
https://osaka-hk.org/posts/%E3%80%90%E7%B7%8A%E6%80%A5%E7%89%B9%E9%9B%86%E3%80%91%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%80%8C%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%81%8B%E3%81%9C%E3%80%8D%E3%81%8B%E3%82%8910
100年前のスペイン風邪に学べる点
たしかに、100年以上前だし、医療も情報システムも抜群に改善しているからという安心材料もありますが、学ぶべき点も探すべきと思います。
スペイン風邪と、現在とは違うと思われる点
- 第一次大戦中で、大人数が密集する兵員輸送船、ざんごうなど「3密」もはなはだしい環境だった。
- 大戦の総戦死者の60%、約1000万人が戦病死で、その1/3がインフルエンザが原因とされている
- 戦争中なので、感染爆発を各国は秘密にしていた
- 高齢者よりも、18才~30代後半までの若年、壮年層の犠牲者が多い
- 感染症に関する情報量の多さ、対処経験、ワクチン開発力は、現在の方が優れている
- 当時の日本人の平均寿命は、44-45才で今の半分。 61才以上の高齢者は圧倒的に少なく、死亡割合共にもっともボリュームゾーンとなるのは21歳以上40歳以下の青年層で感染が35%弱、死亡が40%弱と全体のほぼ4割を占めていた
スペイン風邪と共通する点
- ウイルスをおさえ込む特効薬やワクチンがない
- グローバルな人の移動が多く、全世界への広がりが早かった (2020年は戦争ではないが、グローバルな人の移動はそれ以上)
- 病院が満杯になり、棺おけが足りない状態
市の対応の早さで、死亡者が半分に
- スペインかぜの症例が米国で最初に報告されたのは1918年3月、場所はカンザス州の陸軍基地だった。その後、米国のフィラデルフィア市で最初に確認されたのは1918年9月17日だった。その間に患者は増え続け、最初の症例からわずか2週間で、感染者は少なくとも2万人にのぼった。学校、教会、劇場、集会所などを閉鎖し、市がようやく「社会的距離戦略」を実施したのは10月3日のこと。しかし、その時点で市の医療はすでに崩壊していた。
- 米国フィラデルフィアで感染者が確認されてからほどなく、ミズーリ州セントルイス市でも10月3日に最初の感染が見つかった。市の対応は素早かった。2日後にはほとんどの集会を禁じ、患者の自宅隔離を決断する。その結果、感染の速度は下がり、セントルイスでの死亡率(単位人口あたりの死者数)はフィラデルフィアの半分以下となった。
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パンデミックの最初の半年、すなわち感染が最も深刻だった時期のウイルスによる死亡者数が、フィラデルフィアでは人口10万人当たり748人と推定されるのに対し、セントルイスでは358人だった。
新型コロナウイルスでも起こりえる点
- 多くの人が一定程度の免疫を確保するまでは、第2波、第3波が来る恐れがある
- 結果として、終息まで2-3年かかる?
【出典】
- National Geographic 2020.4.1「早さ」と「徹底」がやはり対策の鍵、スペインかぜの教訓
- IDSC 国立感染症研究所 インフルエンザ・パンデミックに関するQ&A
コロナ感染はインフルエンザよりはるかに、つらいです
ご参考まで、コロナとインフルエンザとの違いをご覧ください。
大きな違い
- インフルエンザに比べて致死率が高い
- 新型コロナは、潜伏期間が長く、感染しても無症状であることも多い
- 新型コロナは、無症状患者でもウイルス量は多く、発症前もウイルスを排出している
まとめ
ここまで読んでいただいて、ありがとうございます。
日本政府の出した緊急事態宣言は5月6日で終りましたが、すでに、第2波、第3波が来ていて、歴史が語る事実が証明されています。
どう生活していくか? 答えは、歴史に学べ、、、です。
市の対応の早さで、死亡者が半分に
- 海外からの人の交流は、水際で感染検査、必要なら隔離
基本を守ることで、感染防止する
- 手洗い・マスク
- 外出自粛・テレワーク
- Social Distance 3密を避ける