【 ドイツに学ぶ 】コロナウイルス対策
2020.4.9時点で、ドイツのコロナ感染者数は世界5位
AFPが各国当局の発表に基づき日本時間9日午前4時にまとめた統計によると、世界の新型コロナウイルスによる死者数は8万6289人となっています。
感染者の多い国順に並べると、ドイツは4位ですが、死亡者は上位8国に比べ、圧倒的に少ないのは、なぜでしょう?
国名 死亡者 感染者数
- USA米国 14,768 431,838
- Spain スペイン 14,555 146,690
- Italy イタリア 17,669 139,422
- Germany 独 2,349 113,296
- France 仏 10,869 112,950
- 中国 3,335 81,865
- Iran 4,003 67,286
- GB 英 7,111 61,474
- Japan 103 4,846
【出典】日本経済新聞 2020.4.9 新型コロナウイルス感染 世界マップ
ドイツに学ぶ、死者数が少ない理由
1. 早い初動 2020.1.4 対応
ドイツ政府の感染症対策の専門機関である、ロベルト・コッホ研究所は、中国での新型コロナウイルスの検出が伝わったばかりの1月6日に内部で作業グループを設置。
ドイツ初の感染者が見つかった1月末には2交代制に移行し、新型コロナウイルスは、従来型インフルエンザより約10倍危険だと結論づけた。
2. 積極的な大規模検査
ドイツは1月初旬の早い段階から、新型コロナウイルスに感染していないかどうかの検査を始め、3月中旬の段階で約16万人検査した。
ドライブスルー式や、自宅への訪問による検査など、様々な方法を導入し、大量に検査をしても医療現場に混乱が生じないよう、工夫を凝らしている。自宅で検査キットを使って献体を施設に送る郵送検査の取り組みも始めている。
3. 数百の民間の研究機関との連携
日本では、検査が公的機関が中心となって担っているが、ドイツでは数百の民間機関も従事し、普段はインフルエンザ検査などに使っている設備を、24時間稼働できる態勢にして、検査スピードを飛躍的に高めた。
4. ドイツ特有の整備された「医療体制」
人工呼吸器はドイツで、25,000台ある (イタリア 3~5,000台、 フランス 5,000台)。
5. 結果、医療現場の負担を分散させることができた
平時からインフルエンザなどの感染症に備えていた数百の民間の研究機関と連携し、上記、ドライブスルー式や自宅訪問検査など様々な方法を導入し、大量に検査しても医療現場に混乱が生じないよう工夫を凝らしている。
ドイツ政府が検査を徹底してきたのは、「感染者を早期に発見」し「外出自粛」を促し、「重症化しやすい高齢者への接触を避ける」ことが可能となった
6. メルケル首相の談話「事態は深刻です」
3月19日に、心を打つトップのメッセージが全国民に発信され、危機意識を高めました。 詳しくは、メルケル首相のスピーチ全文をご覧下さい。
【出典】
- 東亜日報 新型コロナ、ドイツの致死率が低いのはなぜ?
- 日本経済新聞 2020.3.29朝刊 「ドイツ際立つ低死亡率」
- 日本経済新聞 2020.4.5 朝刊「ドイツ、大規模検査の背景」
ドイツの課題
しかしながら、ここのところ死者数が急激に立ち上がってきたのも事実。 いくつかの課題をひろって見ました。
検査を増やすにつれ、医療関係者の感染が増加
ドイツの一日当たりの検査数は、5万件ほどで、一日2千件程度の日本の25倍。
ただ、検査を増やすにつれ、ドイツでも医療関係者の感染は増えつつある。
大規模検査で材料・設備・スタッフの不足
感染者が若い
幅広い年代編御検査を徹底した結果、症状の軽い若年層も含むため、死亡率が低い一因になっている。
ドイツ内の感染者の平均年齢は47歳。イタリアの感染者(63歳)より16歳も若い。ドイツの感染者の多くは、2月にイタリアやオーストリアで開かれたフェスティバルや冬休みのキャンプに訪れた学生たちだという。
死亡者の検査が異なる
一部では、ドイツ政府が韓国やイタリアなどとは違って死亡者に対して新型コロナウイルスの検査をせず、感染して死亡した人だけ統計に含めていることも、致死率が低い一要因だと分析する
まとめ
コロナウイルスの検査の少ない日本にとっては、検査をかなり広範囲に数多く行っているドイツから学ぶところがあります。
体調が悪くなる前に検査することによって適切な病院を選別できる
年齢の高い、または免疫力の弱い人に優先的に、集中治療室のある病院をわりあてることができる
検査を民間に委託することで、スピードと量を任せられる
検査を多くすることで、危機感を共有出来、初動が早くなる
といったメリットがあるようです。いずれにしても、医療崩壊を避け、時間稼ぎをして、免疫力を付けるか、ワクチンの開発が待ち望まれますね。