コロナで医療費1兆円減
要約
2020年4月~7月 医療費7%減 受診控え続く
- 医療費が大きく減っている。4~7月の医療費の総額は前年同期と比べ1兆円規模で減少した
- 新型コロナウイルス感染症に伴う患者の受診控えや病院の診療体制の縮小が原因だ
- 小児科の外来は3割減と大幅な落ち込みが続く
海外も同じ傾向
治療遅れ重症化の恐れ
- 緊急性の低い医療が絞りこまれた一方で、治療の遅れによる重症化を指摘する声もある
【出典】
- 日本経済新聞 2020.10.20 朝刊 「コロナで医療費1兆円減」
診療報酬レセプト・医療費を分析
医療費の4か月間の総額 14兆2000億円
- 医療、歯科、調剤の患者負担も含めた総額で、医療機関が公的医療を提供した際に発行する診療報酬明細書(レセプト)の統計を集計し、医療費の全体像を分析
- 2019年 4月~7月 15兆3000億円 (約7%減)
- 2020年 4月~7月 14兆2000億円
月別分析
- 2019年と2020年を月別に比較
- 4月 -9%
- 5月 -12%
- 6月 -3% 緊急事態宣言が解除され
- 7月 -5% しかし感染が拡大
減少の理由分析
- 院内感染を恐れた患者が通院を控えた
- コロナ患者を入院治療する病院では、他の患者の手術を延期する対応を取っていた
入院・外来分析
- 入院 -6%
- 外来 -10%
外来の診療科ごとの分析 (7月の現役世代対象)
子供の医療費を無償とする自治体は多く、これまでは念のために医療機関を受診する患者も少なくなかった。 法政大学の小黒一正教授は、「過剰な診療が減ったとみることもできる」と指摘する。 受診を我慢したり、手洗いなどの徹底で感染症が減ったことも影響しているとみる
高齢者関係のデータ
- 7月 外来医療費 -5%
高齢者の中には軽症なのに診療所ではなく病院を選び、一日で複数の診療科にかかる過剰診療も指摘される。 高齢者のこうした受診も減っているようだ
入院の件数
- 「胃がん」で予定された入院は7月は前年同月比-22%の減少となった
- 理由:病院側か患者側が、感染リスクを避けるために健診や検査を先送りにしている様子がうかがえる
【出典】病院経営支援の グローバルヘルスコンサルティングジャパン(東京新宿)が重症患者を受け入れる全国417の病院を対象に調査
【出典】
- 日本経済新聞 2020.10.20 朝刊 「コロナで医療費1兆円減」
- GemMed 2020.08.31 今年(2020年)3月、新型コロナの影響で医療費はマイナス1.2%、医科入院外で大幅減―厚労省
https://gemmed.ghc-j.com/?p=35780
海外での医療費の傾向
英国エコノミスト誌の調査部門の、Economist Intelligence Unitからの情報では、2020年の医療費は、各国で減少の見込みで、2021年はその反動が出る見込みです。
海外の傾向
- 日本のほか、英独米の2020年の医療費が2019年比で減少すると予想する
- がんによる死者数が2割以上増える恐れがあると指摘し、約18,000人の死者の増加につながる懸念があるという 【出典】英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの新型コロナに伴う緊急事態が、がん患者の死亡率に与える影響を分析
必要な治療や検査の先送りは、健康への影響が大きいうえ、医療費の反動増を招くことも予想される。 医療従事者への検査など、院内感染を防ぐ対策を徹底するとともに、オンライン診療も活用して適切な医療につなげる取り組みが欠かせない。
【出典】
- 日本経済新聞 2020.10.20 朝刊 「コロナで医療費1兆円減」
厚生労働省の情報から
厚生労働省が8月28日に公表した「最近の医療費の動向[概算医療費]令和元年度3月号」から
概算医療費
- 2020年3月に前年同期比で1.2%減少した
- 医科入院は0.8%増
- 医科入院外は4.1%減
- 歯科は3.0%減
- 調剤は0.6%増
- 入院時食事療養費は2.5%減
- 訪問看護は13.1%増
- 参考: 概算医療費とは:国民医療医の98%に相当、労災は全額自己負担の費用などは含まず
2019年度の概算医療費は43兆6000億円。前年度に比べて1兆100億円・2.4%の増加で、過去最高となっています。
その特色
- 「子ども」の医療費で減少が目立つ、衛生面の向上・受診控えなどが原因か?
- 入院外で医療費が減少、訪問看護で医療費が増加
- 小規模病院やクリニックで医療費減、大規模病院でも「新規入院患者の減少」が既に始まる
その原因分析
- 新型コロナウイルス感染症の影響により、入院・外来ともに患者数が減少し、「医療費が減少している」状況があります
- 緊急事態宣言が発出されたのは4月7日で、3月にはその影響は限定的でした
- クルーズ船「ダイヤモンドプリンセス号」での新型コロナウイルスの集団発生が生じたのが2020年2月に、すでに患者減が始まっていたことを確認できます
【出典】
- GemMed 2020.08.31 今年(2020年)3月、新型コロナの影響で医療費はマイナス1.2%、医科入院外で大幅減―厚労省https://gemmed.ghc-j.com/?p=35780
- 厚生労働省が8月28日に公表した「最近の医療費の動向[概算医療費]令和元年度3月号」
まとめ
ここまで読んでいただいて、ありがとうございます。
新型コロナウイルスは、全世界の人々のお医者さんに行く行動を控えさせていることがわかりました。
皆さん方のお知り合いで、お医者様に行くことを控えたために「治療遅れ重症化する」ことにならないよう、ご注意くださいね。
2020年42020年4月~7月 医療費が昨年に比べ1兆円減っている